3月18日、令和7年地価公示(1月1日時点の地価)が公表されました。神奈川県内の商業地の地価動向は、6.6%(5.4%)と前年より上昇幅は拡大しました(カッコ内は前年、以下同じ。)。
また、神奈川県の代表的な観光地の地価動向をみると、強いインバウンド需要等を背景に、横浜中華街が6.3%(3.0%)、鎌倉の若宮大路が12.7%(12.1%)、箱根の元箱根が3.7%(選定替のため、前年はなし)と商業地全体と同様、前年より高い上昇率となりました。
観光地の地価に多大な影響を与えるインバウンド需要を把握するため、観光地を訪問した際には、外国人観光客の割合についてヒアリングをするようにしています。
商業関係者等へのヒアリングでは、横浜中華街が半分弱、鎌倉は5割程度、箱根は2~3割程度と、平日から外国人が犇き合う築地の9割と比較し低い割合にとどまっています。上記3箇所に共通する事項として、「東京から近いため、日帰りの外国人観光客が多い。」が上げられますが、箱根でのヒアリングにおいて、気になることがありました。
「宿泊需要は強いものの、人手不足により客室の稼働率を上げられない。人手不足の要因として、コロナ禍による日本人従業員の離職に加え、外国人従業員の帰国、さらに円安により外国人従業員がより賃金の高い他国に流れ、戻ってこない。」
マスコミ報道にもなされているように、東京でも飲食業等の人手不足は厳しく、飲食業経営者は長時間労働を強いられ、さらには「人手不足倒産(店舗閉鎖)」に至っているケースもあると聞いています。
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ところで、不動産業者から「地価上昇・物価高等を受け、家賃の値上げを考えている家主が多い。」と話を最近、よく耳にします。
人手不足による飲食業・宿泊業における売上機会の逸失の程度が大きい中、材料費・人件費も上昇しており、テナントが家賃の上昇に応じることは困難な状況です。
しかしながら、労働力の増加により、稼働率が改善し収益が拡大することで、家賃の値上げにも対応できるようになると考えています。
そこで、労働力を短期的に増加させる方策はないのでしょうか。
それは、「年収103万円の壁」の引き上げではないでしょうか。所得制限なしで160万円まで引き上げられた場合、主婦・学生の労働力が単純計算で5割程度増加することとなります。スキマバイトが一般的にとなってきた現在、「壁」の引き上げは、労働力の増加につながると思います
そうなれば、大都市のみならず、観光地における労働力も増加し、客室等の稼働率が改善することで、観光地の地価はさらに向上し、商業地全体の上昇率を大きく上回るものと期待されます。
株式会社不動産経営ジャーナル 「週刊 不動産経営」より転載(許諾済)