山を所有していたり相続が発生したりした場合、その土地をどのように活用したらよいか困っている方が多いのではないでしょうか。
先日山林の鑑定評価を行いましたが、そのお客様はキャンプ場を経営されていました。そこは都心から車で1時間ほどのアクセスの良さで、丹沢と道志川に囲まれた大自然を満喫できる場所です。夏は川遊び、春は桜、秋は紅葉と四季折々の自然を堪能できる関東近郊の人気の高いキャンプ場です。キャンプ未経験の私ですが、大自然に囲まれたキャンプに大いに魅力を感じました。都会の喧噪を忘れ、夜は焚き火の前でキャンプ飯なる物を食べたいし、朝は鳥のさえずりで目覚めてみたい。
実際2020年以降のコロナ禍により、ソロキャンプやグランピングなどのキャンプブームが加速しています。一般社会法人日本オートキャンプ協会による「オートキャンプ白書2023」でも2022年のキャンプの特徴は回数と泊数の多さで、一年間の平均キャンプ泊数は初めて7泊を超えた7.2泊に、また回数も5.4回と初めて5回を超えました。また休暇が取りやすくなっていることから平日にキャンプをする人は50.1%と半数を超えました。そうした利用者が度々キャンプ場を訪れることでキャンプ場の平均稼働率は20.7%と前年から0.3ポイント伸びで過去最高を更新しました。なお22年の傾向は「ソロキャンパーが増えた」が1位で、2位が「女性のソロキャンパーが増えた」だそうです。
キャンプ場を経営する際、森林を伐採したり宿泊施設を用意したりしなければならない場合がありますが、その場合いくつかの資格や許可が必要です。林地開発許可、旅館業許可、飲食業許可、酒類販売業免許などがあげられます。その他キャンプ場に管理棟などの建物を建築する場合、都市計画法における建築確認を取る必要があります。現在経営中のキャンプ場は1990年台のキャンプブームの際に開業したケースが多く、後継者不足に悩まれている経営者も多いそうです。前オーナーからの経営ノウハウを継承でき、固定客のついた状態からのスタートだと開設の難易度が下がります。また観光地の近くや温泉施設が近くにある地域が人気だそうです。キャンプだけを目的にする人もいますが、プラスアルファがあると魅力が増します。
本格的なキャンプやソロキャンプを楽しむ人々の多くは自然本来の姿を求めています。最低限の整備はしつつも、初期費用や維持費を大幅に抑えながら山林を破壊することのないキャンプ場経営、いかがでしょうか。
株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)