2022年は内外ともに、新型コロナ感染症拡大やロシアのウクライナ侵攻をはじめとして事件事故(安倍元首相襲撃事件、旧統一教会問題、新防衛3文書問題など)等いろいろと大きな変遷のあった年でした。
2023年に入ってからは、世界経済はあらゆる物価上昇によるスタグフレーションが懸念されており、日本経済においても金融緩和、低金利政策に若干の修正がありましたが、電気、ガス水道料金の上昇、食料品価格の高騰が続いて景気動向は不安定になっています。
不動産市況にあっては、東京都心のオフィスビル空室率は7%程度と横ばい状況ですが高止まりで推移、反面、東京都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)の中古マンション価格は14ヶ月連続で上昇、希望売出し価格(70平米換算)が初の1億円超となり、投資資金(海外資金)が流入してバブル期以来の水準になったと見られています。(出所は東京カンテイ)
このような環境下、2023年は空き家対策特措法やPFI(民間資金等の活用による公共施設等の整備促進)法を活用した地域再生事業の活性化が期待されています。
空き家法に定められた自治体の「立入り調査権、勧告、命令、代執行」による「空き家解体、解消」事業は千葉県香取市、福岡市、京都市、東京都など未だ少数の自治体に過ぎませんが空き家ビジネスに乗り出す企業や物件に投資するファンドも出てきています。また、産学連携による地域課題解決を模索するケースも見受けられますので、今後は自治体と協議して地域再生事業のひとつとして拡大していくことが期待されます。
PFI法にもとづく自治体のPFI事業実施は都市部(神奈川県、埼玉県、千葉県、東京都など)が中心となっていますが、地方にあっても、公園や集客施設を整備、拡充させ、観光名所の集客力をさらに向上させて、地域再生事業の活性化を図っていくことが期待されています。因みに首都圏では、葛西臨海水族園(江戸川区)、北谷公園パークPFI(渋谷区)、長井海の手公園・ソレイユの丘(横須賀市)、観光物産館・よっとこ(所沢市)、千波公園パークPFI(水戸市)等が事業推進中です。(出所は総務省地域力創造グループ地域振興室および日経新聞ニュース)
ところで、不動産鑑定士の担う役割とは不動産の適正価格評価のみならず、不動産の利活用推進、不動産経済の健全な発展に寄与することと考えられます。
つまり不動産鑑定士には、調査業務やコンサルティング、アドバイザリー業務等によって都市計画、再開発事業のまちづくりや地域再生、活性化事業への参画、貢献が期待されていると言えましょう。
株式会社ビル経営研究所の「週刊ビル経営」より転載(許諾済)