2024年が終わり2025年となりました。皆様、あけましておめでとうございます。2024年は日経平均株価3万3193円05銭円から始まりました。2月に最高値3万8915円87銭を超え、7月11日には4万2000円台を付け引き続き高値圏を維持しています。為替は1ドル157円前後と円安が定着しています。不動産取引に大きな影響を与える金利については、日本銀行による一連の金融政策の変更によりついに「金利ある世界」が到来しましたが、都市圏を中心に不動産価格は上昇を続けています。日本不動産研究所の不動産投資家調査によれば「長期金利の上昇と不動産投資市場の影響は見られない」とする投資家が64%を占め、投資家の不動産への期待値はさらに高まっているといえます。不動産への投資家の期待の根源はどこにあるのでしょうか。日本の不動産の安定性、成長性、制度的な堅牢性、海外投資家であれば為替が円安であること、海外に比べればまだまだ低金利であることの妙味などなど、分解してみれば多数の理由が見つかることでしょう。一方で、個々の物件にみていくと、お寒い状況もまた見えてきます。
日本の収益不動産は約270兆円あると言われていますが、そのほとんどはバブル期と言われる1980年代後半から2000年着工の建物であり、それらの物件は不動産の金融商品化の投資対象からはずれた物件、さらにはCASBEEなどの環境性能評価、建築基準法改正によって必要となる省エネ性能評価などに対応ができない物件が多数を占めています。機関投資家や海外投資家が意欲を示す限られた一部の物件の取引によって現在の不動産価格は維持されていますが、ストックの多数を占める築年の古い物件は、修繕や改修が難しく、賃料が維持できずに収益力が徐々に落ちているのが現実です。本来不動産価格は不動産の収益力が高まることで上昇するはずですが。ここ数年は投資家の期待利回りが低下することで、不動産価格が上昇してきました。期待利回りは金利の上昇によっていつか反転することになりますから、それまで不断の努力によって不動産の収益力を上げることが必要です。収益力の源泉は賃料をあげることとコストの削減。賃料上昇は、不動産の質の引上げとテナント満足度の向上、そしてコストの削減はDX化による効率的な運営、まさにプロパティマネジメントの領域です。プロパティマネジメントの現場力が問われる時代が始まる、そんな2025年になると筆者は考えています。