お盆前の8月8日に宮崎・日向灘地震が、その翌日には、私が事務所を構える神奈川西部の地震が発生しました。神奈川西部の地震では、隣市では墓石が倒れ、私の実家でも壁が一部剥がれる被害がありました。連続して規模の大きい地震が発生しており、南海トラフ地震の発生が危惧されます。
ところで、少し前になりますが、6月上旬に能登半島地震に係る被災地支援のため、4日間、「住家被害認定調査」に参加させていただきました。
その時点で、地震発生から既に5カ月が経過しておりましたが、倒壊した多くの建物が、手つかずのままであり、大規模火災が発生した「輪島朝市」は、ようやく瓦礫撤去に着手されたところでした。幹線道路は、仮復旧がなされたに過ぎず、隆起・仮舗装による段差等もあり、夜道の運転には細心の注意が必要な状況でした。
国・県等の行政の対応について、現地の方々の厳しいご意見も一部聞かれましたが、県・市町村の担当者の方々に加え、他都道府県の県・市町村担当者の方々も被災者支援のため、日夜努力されており、支援活動自体は着実に進められています。また、この8月も猛暑の中、県内のみならず、他都道府県の不動産鑑定士が、能登半島にて住家被害認定調査に取り組んでいます。
にもかかわらず、復興支援が遅いと言われてしまうのでしょうか。諸々理由はあるとは思いますが、「土建国家からの脱却」が最大の要因ではないでしょうか。
確かに、土木・建設業に大きく依存した昭和の「土建国家」は、低利用で財政負担となる「箱物」を多く作り出すなど、問題があったことは否めません。しかしながら、建設業就業者数は、1997年の685万人をピークに減少傾向にあり、2023年には483万人とピーク時の7割となっています。これは、過度の「土建国家からの脱却」が、3K職場と言われる建設業就業者の減少に拍車をかけたのではないかと考えています。この減少が、大阪万博の工事の遅延、さらには、震災復興の遅れに影響しているのではないでしょうか。
首都圏の建設現場を見ると、アジア圏を主とした外国人労働者が多く見受けられます。深刻な人手不足の影響もあり、やむをえないのでしょうが、言語の壁もあることから、工事の安全・施工品質の確保の面で問題があると考えます。
解決策としては、月並みですが、3Kに見合った労働条件の早期の改善と考えます。そのためには、発注者側からの請負契約の契約の改善が望まれるところです。
株式会社動産経営ジャーナル「週刊不動産経営」より転載(許諾済)